• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第9章 9


ニノのまっすぐに見下ろして来る視線と、首に触れた指先の冷たさに、すっかり動けなくなってしまった僕。

そしたらさ、ニノが急に吹き出して…

「え、な、何…?」

何が起きたのか分からず、ひたすら戸惑う僕から、ニノがスっと離れて行く。

そして…

「冗談だよ。智があんまり真剣になるから、ちょっと揶揄っただけ」

何それ…

「もう遅いし、そろそろ帰るか…」

再び伝票を手に取ったニノは、今度こそ部屋を出て行ってしまい…

僕はその後を追った。

カラオケルームの入ったビルから出ると、すっかり夜になっていて…

腰を摩りながら、なのにスタスタと先を歩くニノを、僕は小走りで追いかけた。

でも、ニノのアパートまで数メートルってところで、急にニノが足を止めた。

「智ん家、あっちでしょ?」
「うん、そう…だけど…」
「ここで良いから、もう帰れよ」
「そう…だね、もう遅いし、帰るね」

僕はニノの背中に手を振ってから踵を返し、歩を進めた…けど、数歩進んで足を止めた。

「ねぇ、ニノがさ、もし本当に僕を滅茶苦茶にしたい、って思ってるなら、して良いよ?」

潤さんは僕を目一杯愛してくれたけど、それでも僕の中から翔くんを消し去ることは出来なかった。


でもニノなら…
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp