十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
不思議…だった。
前にも同じような状況になったことがあったけど、あの時とは何かが違う。
ニノが…怖くない。
「お前がいると、自分が抑えらんなくなるんだよ…」
こんな風に自由を奪われてても、何を言われても…
ニノを怖いとは、全然思わない。
「滅茶苦茶にしたくなるんだよ…」
寧ろ、ニノの本音が聞けて、嬉しいとさえ思ってしまう。
「だから、僕に〝もう来るな〟って言ったの?」
僕の問いかけに、ニノの眉尻がピクリと上がる。
やっぱりだ。
ニノは昔から、図星をさされたりすると、眉尻がピクッてなるんだ。
多分、本人ですら気付いてないことなんだろうけど…
「もし、そうだったとして…、僕がそんな簡単に引き下がると思う?」
だいたい、お袋さんにも頼まれちゃったし、雅紀さんだって、毎日当然の事のように、僕に弁当を届けさせるんだから。
〝来るな〟って言われたって、行かないわけにいかないじゃん。
それに…
「僕、決めたんだから…。ニノの怪我が治るまで、ちゃんと僕がニノのお世話するって。だから…」
「じゃあさ…、どうなっても知らないから…」
「え…?」
聞き返した僕の首筋に、ニノの指先が触れる。
怖くはない。
でも、こんなに冷たい指先は、初めてかも…