十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
忘れてるかもしれないけど、と前置きをしてから雅紀さんが組んだ両腕をテーブルに乗せ、少しだけ身を乗り出した。
「俺はさ、潤ちゃんの元彼だよ? それは気にならなかった?」
言われて僕はハッとする。
別に忘れてたわけじゃないけど、改めて言われるとやっぱり気付かされるってゆうか…
全く気にならなかったかって言われたら、多少は気になったりもしたけど、でも過去のことだし、そもそも二人の関係に僕が口を出したりするのは違うんじゃないかって。
だから二人が話してるの見ても、何とも思わなかったし、ましてや嫉妬なんてしたこともなかった。
寧ろ、終わった関係なのに、今でも仲良くいられる二人が、羨ましいとさえ思った。
僕には、そうなりたいといくら願っても、もう出来ない事だから…
「そっか…、そうだよね…。嫉妬するのも変な話だよね…」
「そういうこと。ニノくんが誰を好きでも、俺はニノくんが好きなんだからさ」
そう言って自慢げに胸を張って見せる雅紀さん。
やっぱり雅紀さんは、今まで僕が出会った誰よりも心が広くて、そして優しい。
もし雅紀さんみたいな人を好きになってたら、もしかしたら誰かを悲しませることも、苦しめることも無かったのかな…。