十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
「嫌…じゃないの?」
「何が?」
漸くお腹がいっぱいになったのか、箸もレンゲも置いて、雅紀さんがボタンを押して店員さんを呼んだ。
持ち帰り用のパックを貰って、残った料理を詰めて行く。
「だからさ、その…僕といるのがさ、嫌じゃないのかな、って思ってさ…」
僕だったら気まず過ぎて、とてもじゃないけどこんな風に一緒にはいられないかもしれない。
「全然、嫌とか思ったことないよ」
「どうして?」
僕が聞き返すと、雅紀さんはちょっとだけ驚いたような顔をして、それから真剣に何かを考え込む素振りをした。
「俺はさ、ニノくんのことは勿論だけど、智のことも大好きだよ」
うん、知ってる。
ニノとはまた違った意味で、だけど。
「それにさ、ニノくんが誰を好きになろうが、俺が口を出せる立場じゃないし、ましてやその相手にヤキモチ妬くとかさ、俺には考えられないんだよね」
「でもそれって…」
辛くなったりしないの?
「じゃあさ、逆に聞くけど…」
「え…?」
まさか逆に問われる側になるとは、全く予想していなかった僕は、咄嗟に身構えてしまう。
「智はさ、短い間だったけど、潤ちゃんと付き合ってたわけじゃん?」
「うん…」
僕が優柔不断なせいで、潤さんに辛い思いをさせてしまったけど…