第8章 8

雅紀さんが注文した料理が次々運ばれ始め、テーブルの上はあっという間に料理の皿で埋め尽くされた。

「ねぇ、誰がこんなに食べるの？」
「さあ…」
「僕、そんなに食べらんないよ？」

そもそも僕が少食だってこと、雅紀さんだって知ってる筈だし。

「何とかなるでしょ」
「何それ…」

なんか…、雅紀さんて、ちょっとだけ翔くんに似てるかも。

翔くんも良く、食べきれないくらい注文しちゃって、でも「大丈夫でしょ」なんて言ってさ、結局残しちゃったリしてさ…

顔とか性格とかは…全然似てないんだけど、そうゆうとこ似てたりするんだよね。

そんなことを考えていたら、何だか笑えて来ちゃって、雅紀さんが不思議そうな顔で僕を見た。

「何急に」
「ちょっと思い出し笑い…かな」
「あ、ひょっとして元彼のことでも考えてたんでしょ？」

え、何で分かるの？

前から思ってたことなんだけど、雅紀さんは僕が何も言わなくても、僕の考えてること言い当てたりすることが良くあるんだよね。

天然な人って、妙に勘が鋭かったるするんだろうか？

僕はどうにか誤魔化そうと、ジャンボ餃子を丸っと口に突っ込んだ…けど逆効果だったみたいで…

「あーあ、どうせ誤魔化すならもっと上手くやんないと」

結局僕の考えなんてお見通しだったみたいだ。