十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
迷ったけど、せっかくだしと思い、僕は雅紀さんの誘いを受けることにした。
母ちゃんには電話でニノと親父さんの状況を説明して、ついでにサンダルを履いて来てしまったことを謝った。
電話口の母ちゃんは、よっぽど心配してたのか凄くホッとしたみたいで、図だと「良かった」って繰り返してて…
でもサンダルの件だけは、流石にってゆうか…、僕のどんくささに呆れているようだった。
「で、どこ行くの?」
「それなんだけどさ、最近出来た中華料理屋知ってる?」
「ああ、うん…」
確か、雅紀さんの店からそう遠くない所に、中華のチェーン店が最近オープンしたんだっけ。
「そこ行ってみない?」
「別に良いけど…」
出来れば別のが良かったな…
でもまあ仕方ないよね、なんって雅紀さんの奢りだし。
僕自身中華料理は嫌いじゃないし、寧ろ好きな方なんだけど、休みの日まで…って気にはちょっとなれない。
比べて雅紀さんは、休みの日まで中華漬けで、頭の中では常に仕事のことばっか考えてる。
僕でこうなんだから、これじゃ潤さんが離れるのも無理ないかも。
僕はクスッと笑うと、早く車を出せとばかりに雅紀さんの肩を揺すった。