• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第8章 8


「悪かったよ…。だからもう泣かないでよ」

ニノが自由のきく手で僕の頭をそっと撫でる。


ってゆうか、僕泣いてないし。


「それから、この間のことも…ごめん」
「もう良いよ、済んだことだし…」

実際、あの時のことはあまり思い出したくない。

そりゃさ、ちょっと前までは怒ってたし、思い出す度にムカついたりもしてたけど、でもあんな怖いニノの顔、出来ることならもう思い出したくないんだ。

でも、

「智が良くても、俺は全然良くないから」

ニノはそれじゃ気が済まないみたいで…

「俺さ、智が俺のこと、弟みたいに思ってて、恋愛感情とかこれっぽっちも無いこと、ちゃんと分かってんのに、あん時はどうしても止めらんなくて…」

僕は、ニノがポツリポツリ語るのを、特に頷くでもなく、ただニノの薄っぺらな胸に顔を埋めて聞いていた。

「後から滅茶苦茶後悔すんだろうなって思ってたら、やっぱり滅茶苦茶後悔しちゃって…」

僕とニノは、そこまで性格が似てるわけじゃないけど、変なとこ似てたりするから、ニノが後悔した気持ち、僕にもちょっとだけ分かる。

「だから智が何回も電話くれたり、LINEくれたりしても、出られなかった」

そう…だったんだね。

もし、僕がニノの立場だったら…もしかしたらニノと同じことしてたかもしれない。
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp