十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
思った以上にニノの様子が元気で安心したのか、雅紀さんが売店に行くと言って席を立った。
もう一つあるベッドは空いてるから、病室に残されたのは、当然僕とニノだけで…
久しぶりに会ったのと、あんなことがあった後ってこともあって、何だかちょっと気まずい。
どうしよう、何か話しかけないと…
気持ちばかり焦るけど、何を話せば良いのか、言葉がさっぱり出てこない。
きっとニノにはそんな僕の心境なんて、全部お見通しなんだと思う。
「あの…さ…」って、ニノの方から切り出してくれた。
「う、うん…」
「何でお前、雅紀さんと手なんか繋いでんの?」
「え…?」
あ、やっぱり気付いてたんだ…?
「それはだから…、その…、なんてゆうか…」
言い訳をしようと必死になればなるほど、しどろもどろになって行く僕に、ニノが盛大な溜息を落とす。
「俺がお前のこと好きだって知ってんでしょ? なのに何でそういうこと出来るわけ?」
「そ、それはだから…」
ニノの言いたああことは分かるよ?
でも…さ…
「だ、だ、だってしょうがないじゃん。ニノにもしものことがあったらって考えたら、不安で不安で…」
誰かに縋ってなきゃいられなかったんだもん。