十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
予想に反して元気そうなニノにホッとした僕達は、見舞い客用に用意された折り畳み椅子に並んで腰を下ろした。
「で、一体何があったの?」
だいたいの話は雅紀さんから聞いてるから、改めて聞く必要もないとは思ったけど、やっぱりニノの口から聞きたい。
「だから、たまたまうちの工場で機械トラブルがあって、お袋が助けを求めて来たから行ったわけよ。そしたら、親父が機械と機械の間に挟まれちゃっててさ…。それから俺も大慌てでさ…」
ニノは普段と変わらない口調で語るけど、実際はそんな淡々と語れるようなことじゃないんだろうってことくらい、僕には分かる。
「で、お袋に、消防やら警察やらに連絡するよう指示して、なんとか自力で…って思ったんだけど、全然無理で、その結果がコレよ」
そう言ってニノは、包帯がグルグル巻かれた腕を僕達に見せた。
「まあ、特に折れてるとかでもないから、すぐ治るだろうけど、それより腰がさ…」
ニノは元も酷い腰痛持ちで、ちょっとした拍子にギックリとかも多くて…
その腰を痛めてしまったのが、短期間ではあるけど、入院にまで至った理由らしい。
ってゆうか、朝貰った雅紀さんからの電話だと、もっと大きな事故に感じてたけど、そうでもなかったみたい?