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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第8章 8


雅紀さんが先に病室に入り、僕もその後から入る。

まだ僕の手は繋がれたままで、ニノが変な誤解をしないか心配だったけど、今はこのてだけが、僕をこの不安で押し潰されそうな気持ちを救ってくれるような気がして、どうしても離す事が出来なかった。

クリーム色のカーテンを少しだけ開け、雅紀さんが中を覗き込むのを、僕はドキドキしながら見守る。

「どう…ですか?」
「眠ってるみたい」

僕が聞きたかったのはそうゆうことじゃなかったんだけど、その一言に少しだけホッとしたのも事実。

でも全ての不安を拭えたわけじゃない。

僕は雅紀さんの服の袖を引っ張った。

「ねぇ、怪我とかは?」って。

そしたら雅紀さん…

「そんなに心配なら、自分の目で確かめてみたら?」って、カーテンを全部開け放ち、僕の背中を押した。

すると、僕達の気配に気付いたのか、ニノの瞼がゆっくりと持ち上がり、何度か瞬きを繰り返してから、漸く僕達の方を向いた。

「え、なんでいるの?」

ニノは僕達を見るなり、驚いたような声を上げたけど、すぐに苦笑いを浮かべて…

「あのさぁ、大したことないって言ったじゃん?」

僕と同じく、ホッとした表情を浮かべる雅紀さんに向かって、いつもと変わらない口調で悪態をついた。
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