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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第8章 8


「着いたよ」

そう言って雅紀さんが指さしたのは、この辺では一番大きな総合病院で…

いてもたってもいられない僕は、車が止まった瞬間シートベルトを外し、車外へと飛び出した。

「雅紀さん、早く…」

僕は雅紀さんを急かすけど、雅紀さんはやっぱり落ち着いていて…

多分…だけど、僕があまりにも動揺が隠せずにいるから、雅紀さんはわざと落ち着き払ったフリをしてるんだと思う。


だって、雅紀さんだって本当は、僕と同じくらい…ううん、僕以上に不安な筈だもん。

なのに僕のために…


「智、こっち」

まるで巨大迷路みたいな病院内を、僕は雅紀さんに手を引かれて歩く。

すれ違う人達がたまに変な目で僕達を見たけど、それすらも気にならないくらい、僕達は目的の場所へとまっすぐ向かっていた。

「あった、ここだ…」

雅紀さんが足を止め、僕も同時に足を止める。

スライドドアの横には、しっかりと〝二宮和也〟の名札がかけられていて、雅紀さんがスライドドアを軽くノックした。

でも中から返って来る声はない。

「開けるよ?」

雅紀さんがドアノブに手をかけ、僕を振り返るから、僕は「うん…」とだけ頷きを返した。

そして、ゆっくりとドアが開かれた。
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