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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第8章 8


「あの…、一つ聞いても良いです…か?」
「え、ああ、うん…」

「このブレスレット…」

僕はずっと気になっていたことを口にし、僕の手首でシャランと音を立てるブレスレットに手を触れた。

「どうして捨てなかったんですか?」

潤さんと付き合うって決めた時、僕の翔くんへの思いを断ち切るために、捨ててって頼んだのに…

「それ…は…、何度も捨てようとした。だけど捨てられなかったんだよ」
「どう…して?」
「いつか、本当の意味で智の全てが自分の物になったら…、その時に…ってな」

でも僕の心はずっと翔くんに向いていて…、だから捨てられなかった…ってことなの?


そんなの…、辛すぎるじゃん。


「本当に捨ててくれて良かったのに…」

他人任せにするのもおかしな話かもしれないけど、そしたら僕の気持ちだって、すっぱり切り離せたのかもしれないのに…

「斗真にも言われたよ…」
「斗…真…?」

初めて聞く名前に、僕が首を傾げると、潤さんは「そうか…」と呟いてから

「斗子…って言った方が智には分かりやすいか…」

フッと笑った。

斗子さんとはあれきり連絡もないし、ましてや直接会うことだってない。

僕は斗子さんが潤さんに何を言ったのか、ちょっとだけ気になっていた。
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