十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第8章 8
そんな中、いつものように仕事を終え、ロッカーに前掛けを突っ込み、代わりに財布とスマホを手にした僕は、ある人からLINEが来ていることに気付いた。
あの日以来、ずっと連絡のなかった潤さんからだ。
一瞬、LINEを開こうかどうしようか悩んだけど、あれから潤さんがどうしていたのか気になっていた僕は、恐る恐るLINEを開いた。
「会って話がしたい」
僕と潤さんとのLINE画面には、その一言だけが表示されていて…
正直、どう返事をして良いのか、それとももう終わったことだとこのまま無視するべきなのか迷った。
でもそう長く迷ってる時間はなく…
僕の指が動きかけた瞬間、スマホが僕の手の中で震え始めた。
もしかして…
僕は雅紀さんに挨拶を済ませ、急いで店の外に飛び出した。
やっぱり…
そこには見覚えのある派手な車が停まっていて…
「智…」
僕が店の戸を閉めたと同時に、聞き覚えのある声が僕を呼んだ。
「ごめん…、返事待ってからって思ってたんだけど、待ちきれなくて…」
潤さんは車から降り、戸惑い、動けなくなってしまった僕を、両手で包み込んだ。
「潤…さん…?」
僕の肩に顔を埋める潤さんの背中が、少しだけ震えているように感じたのは、僕の気のせい…じゃないよね?