十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
それにしても…
「なんかさ、毎月来てる筈なのに、何で毎回迷子になるんだろうね…」
さっきからずーっと同じとこグルグルしてる気がする。
「どこ見てもお墓ばっかだからねぇ…」
そうなんだよね…
共同墓地なんだから、右見ても左見てもお墓ばっかで、景色変わんないのは仕方ないんだけどさ、それにしたってじゃない?
まあ、母ちゃんも僕と同じで、超が付くくらいの方向音痴だから、迷子になるのも最早毎月の恒例行事になりつつあるんだけどさ…
「母ちゃん、それ僕が持つよ」
水が入った桶を受け取り、ついでにお供え用の花も受け取った。
そして漸くこの階段を昇ったら…ってとこまで来て、僕たちはちょっとした休憩を取ることにした。
いくら先が見えているとは言っても、数十段はある階段を一気に登るのは、僕はともかくとして、母ちゃんにはちょっとキツイ。
年寄り扱いすると怒るから、直接は絶対に言わないけどさ、母ちゃんだってそこそこの年なんだからさ、やっぱ無理は禁物じゃん?
それに、筋肉痛だのなんだの言われるのも、正直面倒だしね。
「そろそろ行く?」
「そうね」
休憩を兼ねた水分補給を済ませ、僕たちは目の前に続く階段に足をかけた。