• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第7章 7


翔くんはよく「最近のお気に入りなんだ」って言っては僕に聞かせた。

僕も気に入るだろうって…

でも残念なことに、僕が好きなのはどちらかと言えばR&B系で、翔くんはHIPHOP系の音楽が好きだったから、そもそも噛み合う筈がない。

でもこの曲だけは違った。

翔くんに聞かされた数ある曲の中で、唯一僕が好きだと思えた曲だ。

だから自然と覚えてしまったし、ふと気がつくと勝手に口ずさんだりもしてた。

でもさ、まさかこのタイミングで聞くことになるとは、正直思っても無かった。


だって今こんな曲聴いちゃったらさ、余計に寂しくなっちゃうじゃん…


僕は更に寝たフリ聞こえないフリを続けるべく、車窓に顔を向けた。

そうしているうちに本当に眠ってしまった僕は、母ちゃんに揺り起こされて瞼を持ち上げた。

「本当にあんたは良く寝る子だねぇ」
「僕だって疲れてるの。しょうがないでしょ?」

本当に疲れてるのは心であった、身体ではないんだけどね。

「それにしても、良く寝る割には、あんまり身長伸びなかったわね」
「ねぇ、それ関係ある?」


なんか…、ただでさえズタボロなのに、凄くグサッと来る一言だったんだけど?


車を降りると同時に溜息を落とし、僕は座りっぱなしだったせいで固まってしまった身体を伸ばした。
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp