十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
「あれ…?」
迷子になった時間を含め、漸く父ちゃんのお墓に辿り着いた僕たちは、立てられて間もない線香と、真新しい花束が供えられているのを見て、顔を見合わせ首を傾げた。
「誰だろ…」
「さあ…」
「あ、もしかして他所んちと間違えちゃったとか?」
「あんた次ゃあるまいし…」
冗談だったのに…、酷いなぁ、もぉ…
結局、父ちゃんの知り合いがお参りに来てくれたってことにして僕たちは持って来た線香と花、それから父ちゃんが好きだったビールと煙草を供え、墓前で手を合わせた。
毎回…なんだけど、こうして手を合わせていると、ついついあの日のことを思い出してしまう。
あの時父ちゃんに送って貰わなかったら、もしかしたら父ちゃんは今でも…って。
母ちゃんはもう済んだことだって言うけど、僕は中々そう思うことが出来ずにいて…
僕の旨がキュッと締め付けられそうになったその時、ずっと両手を合わせていた母ちゃんが顔を上げ、「行こっか」と言ったら。
僕は軽く頷いてから缶ビールと煙草を回収した。
その時、僕はふと墓石の横に光る物を見た気がして、そこへ手を伸ばした。
え、これ…
嘘…でしょ?
ねぇ、どうして…?
もし…
もしも、僕たちが階段の下で休憩を取っていなかったら…
そしたら…