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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第1章 1


もう怒ってない(そもそも本当に怒ってたわけじゃないっぽい?)ってことが分かったら、急に気が抜けちゃって…

こんなことなら、しっかり朝飯食っときゃ良かった…、なんて後悔したところで後の祭り、空っぽだった僕の胃袋が大騒ぎを始めるから大変。

僕は咄嗟に翔くんから離れ、騒ぎ出したお腹を両手で押さえた…けど、もう手遅れだよね。

「もうさ、本気(マジ)で空気読めないのな?」
「だ、だって…、仕方ないじゃん? 翔くんてば、いーっつもポップコーン残すんだもん」
「はあ? 何だそれ…」

だってそうじゃん。
随分前に二人で映画行った時も、それから付き合い始めの頃にレジャーランド行った時も、いーっつもちょこっとだけ摘んで、後は全部僕が片付けてるじゃん。

バケツいっぱいのポップコーンて、案外お腹膨れるんだからね?
ってゆーか、翔くんが欲しいのは、中身じゃなくて容れ物だってこと、僕知ってるんだからね?

「まあいいや、取り敢えず飯行こうぜ」
「え、でも映画は?」
「言ったろ、気分じゃなくなったって。それに時間…」

言われてカーナビの時刻表示に目を向けると、映画の上映時間まで数分まで迫っていて、どれだけ車を飛ばしたところで間に合いそうもない。

「なんか、ごめん…」

前売りチケットも買って、有給だって取るくらい楽しみにしてたのに、〝一応〟僕の所為で…


はあ…、自己嫌悪…
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