十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第1章 1
あ、でももしかしてこれって…
「嫉妬、してるの?」
僕は身体ごと翔くんの方を見ると、すっかりそっぽを向いてしまった顔を覗き込んだ。
すると、徐々に荒くなっていく鼻息と同時に、翔くんの耳が真っ赤に染まってて…
やっぱりそうだ、翔くんニノに嫉妬してるんだね?
最近は少しだけ大人になった所為かあまり見なくなったけど、翔くんは昔っからそうだ。
緊張したり照れたりすると、すぐ耳が赤くなったりするんだ。
「ごめんね、翔くん」
僕は翔くんの首にそっと両腕を回すと、少しだけ上がり気味になった肩に頬を寄せた。
「今度からちゃんと言うから…。黙っててごめん…」
束縛…とか僕は好きじゃないけど、翔くんになら…
「それからブレスレットのことも、ごめん…」
「もういいよ、怒ってないから」
「ほんと、ごめん…」
しつこくしたら、翔くんの性格上また機嫌悪くなっちゃうかも、ってのは思わなくもなかった。
でもさ、〝一応〟僕の不注意でもあるわけだし、素直に謝るのって大事じゃん?
僕は謝罪の言葉を口にしながら、そっと翔くんの顔色を窺った。
そしたらさ、顔はそっぽ向いたままだったけど、翔くんが小さく息を吐き出してから、僕の髪をそっと撫でてくれた。
「俺も…、悪かった」って。