十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
「ねぇ、智覚えてる? 前にうちにブレスレット忘れてったことあったでしょ?」
あれは確か…
そうだ、翔くんと映画を見に行く約束をしてて…
その時丁度ニノがブレスレットを持って現れて…
「それが…なに?」
「お前さあ、本当にブレスレット忘れてったと思ってるの?」
「えっ…?」
どうゆう…こと?
「あれ本当はさ、わざと隠したんだよ。お前が寝てる隙にね…」
「なん…で…?」
意味わかんないよ…
やっと止まった涙が再び溢れ、布団の上に幾つもの染みを作って行く。
「なんで…って…、お前があんまり嬉しそうな顔して見せてくるから…。だから…」
「嘘…でしょ?」
ねぇ、嘘だって言ってよ。
冗談だって、いつもみたいに…
今更聞かされる事実を、僕はどうしても信じることが出来ず、首を横に振り続けた。
そしたら急にニノの顔が近付いて来て…
「んっ…」
噛み付くようなキスをされた。
僕は顔を背け、キスから逃れようとするけど、全然適わなくて…
ただただ怖くて…
無我夢中で抵抗して…
ニノの手が僕のウエストにかかった瞬間、僕の手が空を切り、ニノのほっぺたを掠めた。
ニノのほっぺたにじんわりと血が滲み…
「あ、ご、ごめん…」
僕が咄嗟に謝ると、ニノは小さく溜息を落としてから、僕から離れた。