十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
ペットボトルを口まで運び、乾いた喉に水を流し込むと、冷たい水が冷えた心に染みて、少しだけ胸が痛かった。
「あのさ、別に焦んなくて良いからさ、話したくなったら話してよ」
僕の隣に座って、ニノがタバコに火をつけ、口から煙を吐き出す。
別にタバコが嫌いとかじゃないし、僕だって吸ったことあるから、隣でタバコ吸われたって何とも思わないけど、ニノの吸うタバコの匂い、やっぱり好きじゃないかも。
「…これ」
僕はずっと手に握りしめていたブレスレットをニノに見せた。
そしたらニノはちょっぴり驚いた顔をして…
「それ…、捨てたんじゃなかったの?」って。
「そうだよ。僕、捨ててって頼んだの」
本当は僕がじふの手で捨てなきゃいけなかったんだろうけど、僕にはその勇気がなかった。
だから潤さんに頼んだんだけど。
「でも潤さん、捨ててなかった。ずっと大事に引き出しの奥にしまってて…」
「そう…だったんだ?」
「でね、さっき部屋出てく時に渡してくれた」
実際は投げつけられたんだけど、本当のことを言ったらニノの性格だから、ニノ潤さんに掴みかかっていきそうで…
それに、優しい潤さんをそうさせたのは、誰でもない、僕自身なんだし…
だから嘘をつくことにした。