十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
僕の電話での様子がおかしかったからか、ニノは詳しく話すよりも前に、潤さんのマンションまで迎えに来てくれた。
普段は、夜車運転するの嫌がるくせにね。
「とりあえず俺のアパート出良いよな?」
車に乗り込んだ僕に、ニノはそれだけを言って車を発進させた。
その後も会話なんてなくて、だからかな…ニノのアパートまでの道のりが、凄く長く感じた。
「上がって」
別に初めて来たわけでもないのに、なんならしょっちゅう来てたのに、初めて来たみたいな感覚に襲われるのは、僕がそれだけ長いことニノの部屋には来てなかったからだ。
「何か飲む? …って言っても、アルコールか水かしかないけど…」
ニノが覗きながら言う。
でも僕は三畳程しかないキッチンと部屋の間で立ち尽くしたままで、返事をすることも、動くことすら出来ずにいた。
そんな僕にニノは、
「んなとこたってないで、座れば?」
僕の背中をそっと押して、座るようにと促した。
そして僕にペットボトルの水を差し出すと、キャップを外してから、僕の手に握らせてくれた。
「酒って気分でもないだろうし、これで我慢して」って。
ニノって、けっこう我儘なとこあるし、思ったことズバッと言いがちだから、誤解を招くことよくあるんだけど、本当は優しくて、友達思いなんだよね。