十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第7章 7
深い深い…地球のうらっかわまで届きそうな深い溜息を落とし、僕は紙袋を手に取った。
しっかりテープでされた封を開け、中身をそっと手の上に出してみる。
「こ…れ…」
僕の手の平の上で、キラキラとするそれを見た瞬間、それまでただの一滴も出なかった涙が、まるでダムが決壊したみたいに涙が溢れ出して…
「なんで…? 捨ててって言ったのに、どうして…」
僕は翔くんとの思い出がギッシリ詰まったブレスレットをギュッと握ると、そっと胸に当てた。
きっと潤さんは最初から分かってたんだ。
どれだけ身体を重ねたところで、僕の心から翔くんが消えることは無いってことを。
だから捨てたフリをして、ずっと…
溢れた涙が幾筋もほっぺたに流れ、ブレスレットの上にポツリと落ちたその時、尻ポケットに入れていたスマホがブルッと震えた。
「潤…さん?」
僕は震えが止まる前にと、慌ててスマホを取り出し、画面の表示を見た。
「ニノ…?」
電話をかけて来たのは潤さんではなく、ニノだった。
ニノのことだから、こんな状態で電話に出れば、きっとまた心配する。
でも…
一瞬躊躇ったけど、僕は電話に出ることにした。
心配かけたくはなかったけど、でもどうしても一人でいたくなかったんだ。