第29章 そして
思えば、後悔の方が多い。あの時、TNTを仕掛けた時に寝ているドラゴンに奇襲をかけたら、こんな大事にはならなかったかもしれないのに。考えれば考える程、自分の判断や行動が正しかったのかどうか悩んでしまう。
「おんりー?」
すっかり呼び慣れたのか、俺の名前を呼んで顔を覗き込んできた。出会ってからずっと親切にしてくれたゴエイくんが、俺を責めるような言葉は言ったことはない。ただ、俯いた俺を心配しているだけだった。
「いや、なんでもない」
俺はゴエイくんに詳細は語らずに、後悔より一人じゃ出来なかったことを思い出すようにした。初めてのガストバイオームでのこと、ファントムの巣でのこと、ドラゴンの城へ乗り込んだこと……。
これはきっと、一人じゃ経験し得なかっただろう貴重な冒険だった。大変だったし、命の危険を感じることもあったが、本当に、このピグリンの王様になってよかったなと、今ならそう思える気がした。