第28章 最終決戦(後編)
俺はグルグルとドラゴンの周りを飛びながら瓦礫や攻撃をかわし、とうとう天井の地形へと辿り着いた。ドラゴンに「何をしている」と何度も煽り文句を聞かされたが俺は全てに答えずにマグマを垂らした。
マグマが頭上から垂れてきているとドラゴンにバレない内に素早く滑空して剣を振る。
「何度やっても同じだ!」
ドラゴンはマグマに気付くことなく俺に攻撃を仕掛けてきた。俺はなんとかかわしながら時々斬りつけるが、ドラゴンは効かないと余裕そうに笑うばかりだ。
「な、なんだこのマグマは……!?」
やがて、頭上から流れてくるマグマに驚いてドラゴンはかわそうと翼を羽ばたかせた。俺はその隙に再びバケツにマグマを満たしドラゴンに振り撒いた。
「おい、やめろ!」
ドラゴンは頭上のマグマを避けながらだったからか、何度かやると少しだけマグマが命中した。最初は尻尾に、体の鱗の一枚に、後ろ足に、前足に……。
「うっ……!」
やがてドラゴンが呻いた。俺のマグマバケツから逃れることに必死になり過ぎて、頭上から垂れるマグマが広がっていたことに気が付かなかったようである。ドラゴンは身体中にマグマを被ったのだ。
「この俺が、こんなもので……!」
悪態をつくドラゴンは飛ぶことが難しくなったのか、地面にへばりつきながら息を切らした。もう少しでトドメが刺せるのかもしれない。俺も着地してドラゴンの腹へ目を向けた。そこにはキラリと光るものがあった。
あのピグリンが残しただろう金の矢だった。
マグマに落ちる直前にお見舞いしてやった一撃なのだろう。ドラゴンの体は鱗だらけなので、矢は中まで刺さっていないみたいだった。これでトドメだ。俺はドラゴンの腹の鱗に挟まったままの矢に向かって剣を振りかざした。
「何をしている……!」
マグマに気を取られていたドラゴンは俺が懐に潜り込んでいたことに気が付かなかったみたいだ。ドラゴンが慌てて俺を振り払う前に、俺は思い切り剣を振り下ろした。