第27章 最終決戦(中編)
ゴォッ……!
すぐ真横で、火の音が通ったのを聞いた。
さっきまでいた場所は瞬く間に炎に包まれ、各所のネザーラックに火が灯る。火が点くと消えなくなるのは、あのゲームの世界と同じらしい。
しかし、俺たちが火を避けただけではドラゴンの怒りは収まらないらしく、乱暴に前足の鉤爪を振り回してきた。俺もサングラスピグリンも難なくかわしてはいるが、これでは近付くことは出来ない。
ならばと、俺は花火で加速してから矢を番えた。空中で弓矢を構えるのは体勢が安定しなく不安だったが、日頃のゲーム内での行いからか、ドラゴンの胴体に命中した。
「ガハハハハハ、痒い痒い! 何か当てたか?」
鈍い音は確かにした。ドラゴンにはあまり効いていないようで、大声で笑った。
「次はこっちの反撃でいいよなぁ?」
ドラゴンがドスの効いた声を発した。返事はどうせ待っていないだろうから、花火で加速して次の攻撃を待ちながら考えた。
弓矢だけではダメージが入らないのはなんとなくお察し感はあった。もっとダメージを入れるならどうしたら、と思案している内にドラゴンが予備動作を始めた。頭を大きく天井へ持ち上げる動きである。
もしかしてこれは、火を吹く動作なのかもしれないと予想した。それにこの動きはやや隙がある。今なら行けるかもしれない。