第3章 ピグリンとドラゴン
その後、城を出てピグリンの町へ見に行くと、そこは酷い有様だった。真紅の木で出来た空中にある住居は大きく傾き、家と家を繋ぐ橋はだらりと垂れ下がっている。一歩間違えたらまだ修復されていない床に足を踏み外してしまい、マグマへ真っ逆さまに落ちてしまう状況だ。
「町の修復はまだ終わっておらず……城はなんとか修復したのですが」
だからパッと見、城は普通のように見えたのか。もう一度よく城を振り向けば、やや歪な凹凸がちらほらとあった。
「……王」
最初から話相手をしてくれていた護衛ピグリンが俺から少し後ろからついて来ていて、遠慮がちにこちらを見た。
彼? はもう、ブルートドラゴンを倒して欲しいなんて言わなかった。ただ恭しくこちらを見つめるばかり。でもこれは、引き受けるしかないんだと俺は諦めた。
「分かったよ……ブルートドラゴンを倒しに行くよ」
すると、目の前のピグリンは分かりやすく明るい顔になった。へぇ、ピグリンってこんな顔もするんだ、と眺めながら。
「では、ただちに兵を集めます!」
護衛ピグリンは勢いよくこの場から立ち去った。俺はそのピグリンの背中を見送りながらよくよく考えた。
王様って、兵を集めて前線に出るものなの……?