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俺、ピグリン王になったみたいです

第25章 帰還


 それを許さなかったドラゴンは、その大きな尾を振り下ろして俺の行く手を阻んだ。俺は思い切りドラゴンを睨みつけてやった。
「はっはっはっ、いい気味だ……そこで自分の無力さを呪うんだなぁ!」
 と喚き散らすドラゴンを無視してその尻尾を乗り越えようとしても、上がれないように振り回したり薙ぎ払いをしてきて俺は城の壁まで吹き飛ばされた。
 こんなことをされている間にピグリンの親子は……となんとか起き上がろうとした時に、俺の視界に救世主が映りこんだ。
 エリトラを身につけた誰かが、ピグリンの親子を抱えてこちらに向かって飛んで来ていたのである。
 最初、ゴエイくんかクロスかエヌ辺りが、猛攻騎士団たちを倒し切ってこっちに駆けつけてきたのだと思った。だが、よくよく見ると全くの知らないピグリンで、親子を俺の後ろにある地形に囲まれた場所へ下ろすとこちらへ向き直った。
「やっと戻ってきたか、王様!」
「……え?」
 エリトラを身につけたそのピグリンが、どこかで聞いたことのある声でそう話しかけてきたので俺は驚いた。
「なんだ、オレのことが分かんないのか?」と言いながら、そのピグリンは掛けているサングラスをズラした。「オレだよ、オレ! ファントムの巣にいたオレ!」
 情報量が多過ぎる。
 まず、目の前にいる小生意気な声をしたピグリンはエリトラを身につけていた。そしてなぜかサングラスを掛けていて、俺に気さくそうに笑んでいる。
 それはいいんだけどサングラスを掛けたピグリンの知り合いはいなかったはずだ。それに、ファントムの巣から助けたピグリンはまだ子どもだったはず……。
「王、彼はファントムの巣で助けた子どもに違いありません。子どもは見ない間に成長するので驚かれるかもしれませんが……」
 と傍らにいたピグリン兵が説明する。
「ええ……」
 どうやら、この世界の時間の流れと成長は、俺が知っている現実世界とは違うようだ。
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