第24章 駆け抜ける戦場
俺はとりあえずエヌを許し、周囲の戦況を確認した。
爆発から逃れるためにエリトラで空に飛び立ったピグリンとピグリンブルートが、士気止まぬまま空中戦を繰り広げていた。地上に残っているピグリンは、空からの攻撃に切り替えたピグリンブルートたちにやや苦戦しているようで、上手くクロスがサポートしているとはいえ、自分も加わった方がいいかと俺は走ろうとした。
「待って下さい」
俺を引き止めたのは、傍らにいたゴエイくんだった。
「ここで戦っている間に、我らの城はドラゴンに襲われているかもしれません」とゴエイくんは冷静に言葉を続ける。「なので、貴方は先に城へ戻って皆を助けてはくれませんか」
「けど……」
ゴエイくんやクロスは、と言うよりも早く、大丈夫ですと頷きを返された。
「私もあとで向かいます……あの騎士団長は、私が仕留めますので」
見るとTNTの爆発をほぼ受けただろう猛攻騎士団長が、よろめきながら立ち上がっているのが見えた。さらに奥ではエヌが身構えている。
「分かった。行ってくるよ」
と俺が返事をすると、ゴエイくんは微笑を浮かべた……気がした。そういえば俺、いつからピグリンの表情が分かるようになったんだっけ。
「よろしくお願いします、おんりー」
「……!」
ゴエイくんが初めて俺の名前を敬称なしで呼んだ。その力強い言葉に、俺はどれだけしっかりと応えられるのだろう。
「ご武運を」
俺はまだまだ激しい戦場の中を切り抜け、ドラゴンの城を後にした。