第23章 仲間の力を信じて
「流れ弾……っ?!」
俺の視線の向きにつられて敵もとうとうそこまで迫って来ていた矢に気が付いたようだった。
敵は瞬時に盾を構えた。当然ながら矢は盾によって弾かれてしまうが、わずかでもその反動を受けてしまうので、敵は空中だったのもあり、体勢を崩したのだ。
「おらぁっ!」
俺は思わず声を発しながら剣を振った。敵は避け切れずに俺の攻撃を全身で受け、勢いよく床へ叩きつけられた。
こんなに何度も剣を振ることもない俺は腕に込めすぎた力に疲労を感じながらなんとか無事に着地をした。
「騎士長!」
敵の騎士長が倒れた影響でその部下たちは精神的に一瞬でも隙を見せた者がおり、そこに味方の誰かが攻撃をして倒した。
だが、猛攻騎士団長はただでは倒れてくれなかった。
「狼狽えるな! 猛攻しろぉ! 俺たちは猛攻騎士団だぞ!」
斧を支えに立ち上がる猛攻騎士団長が皆の士気を高める。勢いで味方も何人か倒れた音がした。俺はあまり見ないようにして、じっと敵を見据えた。
猛攻騎士団長は俺を見据え返して、笑った。
「楽しくなったなぁ……戦いってのはこうじゃないとなぁ?!」
猛攻騎士団長はそんな狂気めいた言葉を吐いてこちらに突っ込んで来た。花火を取り出す余裕はなかったので左手のマグマバケツの取っ手を握り締めた。
その時だった。
「これでも食らえ!」
声と共に振ってきたのは、TNTだった……。
「ちょっ……」
待て、というには時既に遅し。どこからか現れたエヌはTNTを放り投げており、俺たちの真上で起爆した。