第22章 戦闘、開始
「なんだぁ、諦めか?!」
目の前では俺を追いかけていた敵が飛びながら迫っていた。さらに敵は盾を持っているので一撃をお見舞いしてやるのも苦労する。ここでマグマバケツを使うのは味方にも被害が及んで危険かもしれない。俺は叫んだ。
「クロス、こいつを撃って!」
クロスはクロスボウを持つピグリンで、戦闘状況を見た時に遠目から味方をサポートする役を務めていたのは見えていた。
遠くから周りを見ているクロスから俺の声に気が付くはずだ、と多少過信して。
「分かりました!」
女性のようなクロスの声がよく響き渡るような錯覚がした。だが、敵は余裕そうに笑っていてクロスからの返事は聞こえなかったみたいだった。
「ガハハ、とうとう仲間に助けを乞う情けない王に成り下がったか!」
と叫び散らしながら。
俺は敵の言葉を無視して目の前の敵に集中した。風を切る音が横から聞こえる。一、二、三と頭の中で数えた直後には敵はもう目の前にいて、同時に花火による加速は緩み、俺はゆっくりと落下していた。
俺は寸前の矢へ視線を向けた。