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俺、ピグリン王になったみたいです

第22章 戦闘、開始


「なんだそれはっ?!」
 不意をつかれた敵は咄嗟の判断で後ろへ飛び退いた。直撃はしなかったが、多少はダメージが入ったようだ。敵の片腕に焦げ跡がついている。
 間髪入れずに剣の攻撃をお見舞いしてやろうと踏み出したが、敵はおののくこともなくネザライトの斧で迎え撃って来た。剣と斧では火力が違う。俺は押し飛ばされた。
「弱いなぁ、ピグリンの王ってやつは!」
 敵がそう言ってニヤついた。ゲームと生身ではどうも動きが違うこともある。まだ負ける訳にはいかないと花火を取り出した。敵が斧を振り下ろそうとした直後、花火が火を噴いて俺の体は飛んだ。
 エリトラの練習は大してやってはいなかったが、要領はゲームと同じだった。視線を前に、行きたい方向へ体を傾けるとあっという間に天井間際まで飛び立った。
 しかし相手にもエリトラがある。敵も同じくロケット花火で追撃を仕掛けて来た。
「逃げるなよ!」
 視界の端で敵が斧を構えたのが見えた。俺はすぐに新しい花火に着火して加速する。敵は諦めるどころか同じく加速して追いかけてくるので、逃げ回るばかりではいけないだろうと察した、直後。
「これでも食らえ!」
 エヌから聞いていた通り、敵がTNTを投げつけてきたのである。俺が本来知っているTNTよりかなり小さなサイズの。
「何それっ?!」
 俺は思わずそう叫びながらもう一度花火に着火して加速を加えてかわす。TNTは天井にぶつかって小さく爆発した。危ない。壁に当たると、そこに埋めてきたTNTに誘爆してとんでもない被害を出していただろう。
「いつまで逃げているつもりだ!」
 と言う敵の声を無視して俺は周りの様子をよく見てみた。ゴエイくんたちは既に立ち上がっていて戦いに加わっているが、実力は互角といったところで敵も味方も数は減ってはいないみたいだった。
 ここは、騎士団長を斬り伏せて士気を下げるしかないのかもしれない。だが、あまり離れ過ぎるとまたTNTを投げてきそうだ。
 俺はくるりと身を翻した。
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