第21章 絶望の瞬間
俺が予め偵察していたドラゴンの間には、ブルートドラゴンは──いなかった。
「えっ」
と息を飲んだのは自分だけじゃなかったはず。ゴエイくんどころか、城内をよく知っているはずのエヌの部下すら焦りの表情を見せている。
ドーム型の屋根、円形に広がった壁沿いにマグマがあるこの広間の中心には、ドラゴンではないヤツらが意地悪そうに笑っていた。
「残念だったな。お前らが探してるドラゴン様はここにはいないぜ?」
ピグリンブルートの集団の一人がそう言った。
「どういうこと……」
これを言葉にするより早く、対峙するピグリンブルートたちはゲラゲラと笑った。ゴエイくんに目を向けても首を竦めるばかりで、ようやく後ろにいたエヌの部下がぽつんと呟いた。
「ヤツらが、猛攻騎士団です」
猛攻騎士団は厄介です、とエヌたちから聞いてはいた。