第20章 作戦始動
城は複雑な迷路のようになっていて、俺たちはエヌの案内で、比較的通りの少ない通路を歩いて突き進んだ。
「オマエ、ナンデココニイルンダ?」
時々、別の騎士団員らしきピグリンブルートに話し掛けられたが、エヌがなんとか誤魔化して切り抜け、隠れたり早足で駆けたりして、ようやくその場所まで行き着いた。
「おんりー兄貴、ここっス」とエヌは俺たちを振り向く。「ここから先は精鋭の防衛騎士団エリアっス。見張りのオレたちがここに来ることは許されていないっスから、いきなり襲いかかってくるかもしれないっス」
俺は呼吸を整え、小さく頷いた。
思えば、ピグリンのためになんでこんな命懸けた戦いをしなければいけないんだと考えてしまうが、ここまで来たのならもう引き返せない。それに、元の世界には戻りたいし、行くしかない。
「では、作戦通りに」
ゴエイくんが俺に目を向けてそう言った。力強い眼差しで。
俺たちは三手に分かれた。というのも、ドラゴンへの道は三つあるのだが、どれも防衛騎士団エリアを切り抜けなくてはいけない。
俺はゴエイくんと同じチームにいた。一つはエヌがいるチームで、防衛騎士団に侵入者がいたから援護を頼むと言い、騒動を起こす役割だ。
それが嘘だと見抜かれようがどうなろうが、その騒動の中で俺ともう一つのチームが防衛騎士団エリアを切り抜け、一気にドラゴンの元へ駆けつけるというのが作戦だ。
俺がTNTを仕掛けたように地味に掘り続けて奇襲をかける作戦もあったが、それをやるにはこちらの人数が多過ぎた。それに、TNTの扱いに慣れていないピグリンやピグリンブルートがうっかり起爆させてしまうのもマズかったし。