第19章 覚悟
練習所に戻ると、ゴエイくんとクロスがエリトラを身につけたまま出迎えてくれた。
「どう?」
「はい、順調です……と言いたいのですが」
俺の問い掛けに渋そうに答えたゴエイくんの話はこうだった。
ピグリン兵の過半数はエリトラを使いこなすのが難しいようだ、ということ。
既に頭をぶつけたり足を挫いた兵もいるらしく、これ以上練習をさせると兵の削減も考えなくてはいけないと言われ、俺は頷くしかなかった。
「分かった。じゃあ、飛べる人だけ飛んで」
「分かりました」
そうしてピグリン兵たちとエヌたちの部下たちは武器や装備を新調し、作戦を練り立てる。ドラゴンのいる部屋に入ってすぐはどう動くか、他の騎士団がいた場合はどうするか、ドラゴンが飛び上がった場合はどうするか、と。
そして、自分に何かあったら、壁に向かって矢を放って欲しい、とクロスに伝えるのも忘れずに。
「壁に……ですか?」
一度もドラゴンの部屋に入ったことがないクロスが疑問に思うのも仕方のないことだったが、これは重要なことだった。
「壁の中にTNTを埋めてきた。だからどこかに着火したら、すぐ逃げて」
建物ごとドラゴンを持っていくつもりで。
クロスは深く頷いた。
「分かりました、王」