第15章 四つの騎士団
「それで、さっき言ってたドラゴンの洗脳って話は何?」
すると、見張り騎士団長は眉間にシワを寄せて渋々と口を開けた。
「実は……ここに連れて来られたピグリンブルートはみんな、あのドラゴンに洗脳されているんス」と見張り騎士団長は話を続ける。「見張り騎士団は四つある内でもまだ弱い戦闘能力っスから、洗脳も弱いんスが……」
口篭る見張り騎士団長。これ以上語ることは出来ないみたいだ。
だが、よくよく思い出してみると、確かに「戦闘騎士団」のピグリンブルートは、目がおかしかった。今そこで自分と会話しているピグリンブルートや、ゴエイくんたちとは違う目つき。あれが「狂気」と表現するのなら、まさしく「戦闘騎士団」はその言葉によく当てはまる気がした。
ということは、これから先に進むのなら、あれ以上に狂気に満ちた敵と戦わないといけないということなのか。
「しかし、見張り騎士団長とやら」と話掛けたのはゴエイくんだ。「そのドラゴンを倒せば、洗脳されたピグリンブルートも元に戻せるのではないのか?」
「それは……分かんないっス」
いつもは好戦的なピグリンブルートも、今そこにいる彼はあまりにも気弱だった。こんなに弱そうなピグリンブルートは、後にも先にも見ることがないだろう光景だ。
「ドラゴンに反乱しようと思わなかったの?」
と俺が訊ねると、はっと彼は顔を上げて、実は……と言葉を続けた。
「反乱の機会を伺ってんス。ピグリンブルートが今まで何度も反乱を起こして失敗していたのを見たものっスから」そして、彼は隣にいた部下のピグリンブルートを見やった。「おんりー兄貴をあの場所に案内するぞ」
「で、ですが、騎士長……」
「いいから行くぞ! 今こそが反乱の時期だ!」
そうして俺たちは、ドラゴンの見張り騎士団を味方につけたのである。