第14章 戦闘騎士団
そんな団名聞いたことないんだけど、と突っ込んでいる余裕もないまま、俺はとうとう壁まで追い詰められた。
ちらっと見れば、俺に味方をすると言っていたピグリンブルートの方は恐れおののいてこちらを助けられる気迫はなさそうだ。ここは自分でなんとかするしかない。
「逃ゲラレナイゾ!」
聞き取りにくい言葉を発したのち、一番近くにいたピグリンブルートが持っている金の斧を掲げた。俺は考えるより先に剣を振って膝を狙って斬りつけた。ピグリンブルートはだいぶ体力が減っていたようで、大きく転んでデスポーンした。
しかし息つく暇はなく次のブルートが襲いかかってきてなんとかかわす。勢いで壁に食い込んだ武器を引っこ抜こうとしている敵を横目に次の攻撃を剣で迎え撃って少しずつ移動を試みた。
一旦、壊した壁から外へ出ようと考えた上での行動だった。
それでもまだまだ数体残っているピグリンブルートに身体一つで斬り抜けるのは困難だった。
「ちょっと手伝ってよ……!」
「あ、兄貴、そ、それでもそいつらはやれねーっスよ、仲間だったんスから!」
隅で棒立ちのピグリンブルートはすっかり戦意を失っているらしい。横にいる部下らしきピグリンブルートもこちらに襲いかかってくる様子はないが、俺一人ではとても捌き切れない、と思った矢先だった。