• テキストサイズ

俺、ピグリン王になったみたいです

第13章 新たな敵


 俺は寸でのところで横へ転がって避けたが、体勢を立て直す前には敵が距離を詰めてきて胸ぐらを掴まれた。
「あ、よく見たらそこら辺のモブとは違う見た目をしてるじゃねぇか」と敵の騎士長が喋る。「こっそりここまで来たもんだからどんなすごいやつかと思ったが……大したことなかったな」
 俺の体は敵の腕力だけで持ち上がり、爪先が床から離れた。足掻いてみるがビクともしない。
「ここでおしまいにするのは惜しい気もするが……ドラゴンの指示だしな。トドメは一気に……っ?!」
「ここだっ」
 俺は、ずっと隠し持っていたマグマバケツを振り回した。無我夢中だったがバケツが思い切り敵の頬を殴り、腕の力が緩んだ隙をついて俺は急いで距離を取った。
「うおっ、なんだこれは?!」
 殴った弾みでバケツから溢れたマグマが敵の足元に流れ込んだ。今までマグマバケツで攻撃をされたことがなかったのか、敵はどうしたらいいか分からず慌てふためいている。俺はそこに目掛けて剣を振り下ろそうとした。
「ま、待て!」マグマが引き、既に倒れたままのピグリンブルートがこちらに手を向けて叫んだ。「俺たちはドラゴンによってここに来る奴らを全員排除しろと言われてるだけなんだ! お前を倒したい訳じゃ……」
「でも、今までここに来たピグリンを倒して来たんでしょ?」
 俺が剣を下ろさないままそう聞けば、目の前のピグリンブルートから影が差した。
「そ、そう、だな……仲間を倒すのは、本当に、つらかった……」
 俺はしばらく、そのピグリンブルートを見つめた。ピグリンブルートは本当に後ろめたそうに横顔を向けたまま、目が合わない。着ている服はマグマですっかり焦げてボロボロだ。これ以上戦意を削ぐ必要はあるだろうかと俺は考えた。
/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp