第12章 ドラゴンの城へ
「弓矢とか花火があれば合図が送れるかも……」
「弓矢ですか?」
またしても俺の呟きにすぐ反応してゴエイくんは懐から何かを取り出す。出てきたのは弓矢ではなかったが、棒と糸がいくつも出てきて、どんだけ持ってるんだと俺は内心驚いた。
「兵長、ゴミでもなんでも持ち歩くからいつも荷物いっぱいなんですよ」俺の心境に気付いたのかどうか、クロスが話に入ってきた。「けど今回は、王の役に立ったみたいですね、兵長」
「余計なことは言うなよ、ピグリンよ……」
「今ワタシはピグリンじゃなくて、クロスなんやけどなー?」
「オ、オホン、ク、クロスだったな……」
荷物がいっぱいのゴエイくんに関西のような訛りのクロスにどこか親近感を感じながら俺が思わず笑うと、二人のピグリンがハッとしてこちらに跪き、すみませんと頭を下げてきた。
「いや、謝る必要はないよ」
ただ早く、元の世界に戻りたいと思っただけで。
俺は二人が会話をしている間に既に弓を作り終えていた。あとは矢をクロスから数本もらい、ブロックを置いた。
そこからもう一度兵たちを振り返ると、ゴエイくんを先頭に敬礼をして、俺本当にこのピグリンたちの王なんだなぁと呑気に考えた。
「行ってくるよ」
「はい、お気をつけて行ってらっしゃい、王」
俺は玄武岩デルタを駆け上がって行った。