第11章 厳しい地形
聞くところによると、俺たちが目指しているブルートドラゴンの根城は広大なソウルサンドバレーに囲まれ、中心に行くにつれ玄武岩デルタのような地形になっていて行くのが困難らしい。
「自然の要塞じゃん……」
と俺が呟けば、隣のゴエイくんがその通りですと頷いた。
「しかし、玄武岩デルタは、ブルートドラゴンが創り出したと聞きます。なんでも、地形を破壊する程の力があると」
「地形を破壊……」
まるでエンダードラゴンみたいだと俺は思ったが、今までだってドラゴン以外にボコボコに地形を破壊された鬼畜企画はなんとかやってのけた。今回も上手く行くかも、なんて気楽な思考はすぐには払い退けた。俺は今生身の体だ。今度酷い目に遭ったら、永遠と元の世界に戻れないどころか、死んでしまうかもしれない。
「……大丈夫ですか?」
ゴエイくんが心配そうにこちらの顔を覗き見た。俺は不安な気持ちをどこかに追いやって気を引き締めた。
「大丈夫」
行こうか、と俺はソウルサンドバレーに足を踏み込むと、後ろからピグリン兵九人がついて来た。幸いにも今のところスケルトンは湧いていない。行くなら今しかないと歩き出そうとした時。
「うわぁ?!」
あまりにもの速さに俺はよろめいた。見ると靴からふわふわと青い炎のような、魂のようなものが現れては消えてを繰り返している。
「ソウルサンドの上って、足が遅くなるのかと思ったけど……」
「靴にはソウルスピードがエンチャントされています」
「やっぱり?」
ピグリンと交易する時、確かにソウル速度上昇の本をもらうことはあったけど。エンチャントテーブルや金床を使っているピグリンなんて見たことがなかったので、本を活用しているとは思ってもみなかったのだ。
そういうことで、ソウルサンドバレーはあっという間に切り抜けることが出来た。道中のスケルトンは命中率の高いクロスが圧倒的に優位で一網打尽。クロスを連れて来てよかったなと俺は心から思った。