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俺、ピグリン王になったみたいです

第7章 仲間意識


 俺たちはガストバイオームとネザー荒野の境目に立っていたが、ピグリン兵たちは一心に何かを見上げていた。
 俺もピグリン兵たちの見上げている先へ視線を投げた。
 周りの景色はネザーラックに囲まれていつも通りという感じなのだが、天井に見慣れないものがぶら下がっていた。ガラスブロックだ。
「あれ何……?」
 俺が疑問を言葉にすると、隣のゴエイくんがすぐに答えた。
「あれはファントムの巣です。近付く者を誰彼構わず連れ去る飛行するMOBです」
 見ると上空にファントムが数羽飛び回っていた。その中の一羽が急降下し、そこらにいたゾンビピグリンを連れ去って巣へと持ち帰る様子が伺えた。
 ここはファントムの巣を避けて進みましょうとゴエイくんが提案してきたので俺はそれに賛成したのだが……。
「ファントムの巣に子どもがいる!」
「まだ間に合う! 助けに行くぞ!」
「……え?」
 ピグリン兵の半分以上がファントムの巣の方へ走って行ったのである。
「ちょっと、みんな?」
「我らピグリンは仲間意識が強いです。子どもとなると、無条件で助けに行こうとする者が多く……」
 俺の制止を聞かずに走って行くピグリン兵たちの背中を見送りながら、ゴエイくんが苦々しそうにそう説明をした。
 もう一度見上げたファントムの巣はいくつかあり、二番目奥くらいのガラスブロックの中に、オロオロとしている子どもピグリンが見えた。
「……あの、どうしましょうか」
 ゴエイくんは控えめそうにこちらを見つめた。ゴエイくんの横にあるその拳は固く握られてわずかに震えているように見えた。それは、俺があの子どもピグリンを助けないと言い出せば、今駆け出して行った兵たちを呼び集める覚悟なのだろう。
「分かったよ。助けに行こう」
「ありがとうございます……!」
 俺の決定に、ゴエイくんは明らかに嬉しそうな顔をした。ピグリンってこんなにも表情豊かなんだなぁと思いながら。
「では行きます!」
 それからゴエイくんは走り出してすぐに兵たちの指揮を執りに行った。
 俺はあとから彼らについて行きながら、自分はいつまでこの世界にいなきゃいけないんだろうと、どこか焦りを感じていた。
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