第7章 仲間意識
ガストバイオームは名前の通り何度もガストが湧いたが、次はネザライトの剣で火の玉を跳ね返したり、遠距離攻撃の出来るピグリン兵らが活躍して難なく切り抜けた。
足場はマグマだらけだったが、怒り状態ではないピグリンは間違って溶岩遊泳することもないみたいだ。順調にクォーツブロックバイオームを進むことが出来た。
それにしても、ネザーにこんなバイオームがあったなんて、とクォーツブロックの地面を見渡しながら少し観光気分になる俺に、ゴエイくんが気にするように声を掛けてきた。
「王、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。装備がいいからね」
火の玉を素手で打ち返してはいけないというのは予想外だったが、普通考えたら当たり前のことである。時々飛んでくる火の玉を返送するくらい慣れたものだ。それより、ちょっと気になるので俺はゴエイくんにこう言った。
「俺、王じゃないからおんりーでいいよ」
「し、しかし……」
ゴエイくんは困ったように口篭る。俺は返事を待たずに歩き続けていたが、やがて観念したかのようにゴエイくんは頷いた。
「分かりました、おんりー」
そう呼ばれることで、息のしづらさが少し緩和したようで俺はなんだか気持ちが楽になっていた。ゴエイくんの表情は申し訳なさそうだったけど、きっとすぐに慣れてくれるだろう。
間もなく、目の前の景色がいつものネザー荒野に戻ろうとしていた。ガストバイオームはかなり広く、オーバーワールドで言う平原のように見渡しの効く地形だったから次の行動が予想しやすかったのだ。
「そろそろガストバイオームが終わりますね」
とゴエイくんも言った。俺は頷き、そういえばどれくらい移動したらいいのか分からなかったので、ブルートドラゴンがどこにいるのかゴエイくんから聞き出そうとした。
「あとどれくらい歩けば着くの?」
「それはですね……」
「ファントムの巣だ!」
「え?」
俺の質問にゴエイくんが答えようとした時、ピグリン兵の誰かが思わぬ単語を発した。今なんて言った?