第1章 こっちにおいで
すっかり息の上がったをベッドに運んで、もう一度強く抱きしめる。これだけで朝感じていた心にできた不安や寂しさのかたまりがゆっくりとほどけていって、不安定だった情緒は今は別の理由で乱され、落ち着こうと髪や頬にキスをすれば少し息の整ったが「くすぐったいです、ふふ、」とくすくす笑う。
心地がいい。その声も体温も柔らかな雰囲気もぜんぶが心地良い。
「鉄朗先輩、勉強お疲れ様です。えらい、よしよし」
重力に逆らう髪の毛を撫でたりキスをしながら、「ここ、色変わってますよ。頑張ったんですね」と、ねぎらいの言葉をかけてくれる。見れば右手の中指にペンの痕がついて赤くなっていた。
まるで小学生を褒めるような言い方で、父子家庭で育った俺にはくすぐったく感じる。こんな風に誰かに褒めてもらったり努力を認めてもらうのは初めてで、きっとこの先よしよしと190センチ近い俺の頭を撫でるのも、とろけるように甘やかしてくれるのも、彼女だけだろう。
「それじゃあご褒美ちょうだい」
かぷりと細い首筋に噛みついて丁寧に舐め上げると、先程のキスで中途半端に焦らされた身体は簡単に熱を帯びていく。
うっすら浮き上がる鎖骨の下に新しい印を刻んで、湧き上がる独占欲を満たす。
制服がしわにならないように脱がせると、日に晒されていない色素の薄い肌に散りばめられた内出血の痕が先日の行為を思い出させてぞくりと体の中心に熱が集まる。
ブラジャーをたくしあげて、やわやわと双丘を刺激すれば先端を硬く尖らせて主張するそこに舌を這わせたり、もう一方を指で弾いたりする。
「ん!ぁっ…。ひゃぅ…」
の色を含んだ声に本能が掻き立てられ少しずつ自分が自分じゃないみたいに抑えがきかなくなっていく。
がっついてると思われたくなくて、頑張って頑張ってなんとか理性を保ちながら丁寧に愛撫をほどこす。
脇腹を撫でて太ももをさすり上げ、何往復かして辿り着いた陰部は既にショーツ越しにも分かるほど湿り気を帯びていた。
「あらら、脱がせるの遅かったね」
足から抜き取った下着を見せると「恥ずかしいから言わないでください!もう、先輩のせいですからね!」と頬を膨らませながら照れ隠しする。