第1章 こっちにおいで
先に達したの締め付けに耐えきれず欲を放つ。ぎゅうぎゅうと搾り取られるような感覚に身慄いしながら最後の一滴まで吐き出しに覆い被さるように抱きつく。
はぁはぁと浅い呼吸を繰り返すが落ち着きを取り戻し少しして「鉄朗、重い。…です。」と思い出したように語尾にですをつける。
「…敬語なんでダメです。どかない。」
「えぇ!」
「おしおき。」
さらに体重をかけるとじたばたして
「は、肺が、息が!!」とふざけているの横に寝転がって後ろから抱きしめ直す。
「先輩…?」
「今日はがっついちゃってごめん。痛くなかった?」
肌を重ねるたびにどろどろと深い沼にのめり込んで行くような感覚、きっともう抜け出せないところまで来ていて、大切にしたいのと思うのにを見ると壊してしまいたいとも思う。
今までが怖がらないように優しく抱いてきたが、今日の欲望に負けた行為の快感を知ってしまったから次からきっと負け続けてしまうのだろう。
"優しい鉄朗先輩"はもういないのだ。
もっと激しく、もっともっと強く犯したい、意味を成さない反省の言葉で惑わせて気付いた時にはもこの沼から抜け出せなくなればいい。
「びっくりしたけど、大丈夫ですよ。その…、気持ちよかったです。」
顔がみえないからか、いつもより素直な返答に処理したはずの欲望がまたうごめき出す。
どろどろ、
どろどろどろ
「もっかい、いい?」
が好きだと言っていた低めの声。抱きしめる力を強めて耳元で囁けばコクリと頷いて、密着した肌からトクトクと早まる心拍を感じる。
こうすれば、断れないよね。知ってる。
どろどろどろどろ。
さぁ堕ちるところまで堕ちよう。
こっち側へ、おいで。