第12章 帰還
その姿を見ると恥ずかしさとやるせなさが込み上げてくる。
安「ほら、手を。」
まだ少し笑みが残っている顔で手を差し出される。
『ありがとうございます………。』
手を握り、そのままグイッと手を引く。
安室さんも体勢を崩し、こちら側に倒れてくる。
(してやったり!)と思っていると
安「 紫乃さんは大胆ですね。」
不敵な笑みを浮かべていた。
(あ………、………………近っ!)
足の間に安室さんの体が入り顔が目の前にあった。
安「僕の方が一枚上手でしたね。」
ふふと笑い、キスをする。
『わざと倒れたんですか!?』
安「なんの事でしょう?」
『~~~~安室さんの意地悪っ!』
濡れた服から新しい服に着替え海を眺める。
(流石安室さん、用意周到だなあ。)
安「そろそろ行きましょうか。」
『わかりました。』
嫌な事もあったが楽しく忙しない日々が終わると思うと寂しさもあり少しだけ立ち上がる腰が重い。
車に戻り以前まで見慣れていた町を見つめる。
家の近くのコンビニに降ろしてもらった。
コ「あれれ~~、 紫乃お姉ちゃんだ!沖矢さんから居なくなったって聞いてたけど安室さんと一緒に居たんだね!!」
『あ……、コナン君っ!』
コ「沖矢さん、すっごく心配してたよ!早く帰ってあげないと……怒られちゃうかもよ?ね、安室さん??」
安「それは困りましたね。では、僕はこれで。」
お気を付けて、と言い手を振り別れる。