第12章 帰還
安「あ、 紫乃さんおはようございます。」
『おはようございます。』
昨日の事もあり少し距離がある様に感じる。
安「何か、したい事はありますか?」
『へ?』
唐突な質問に変な声が出てしまった。
安「あ、急ですみません。今日の夜辺りに家に帰れるので最後にしたい事はないかな……と。」
微笑みながら、そう質問の意図を教えてくれる。
『今日で帰れるんですか!?』
安「………はい、そうですよ。」
『………したい事かぁ。そう言われると困りますね。』
ふふっと笑い、また頭の中で考える。
安「前と同じデートを、もう一度しても良いですか?」
安室さんからの急な提案に驚きつつも、にこやかに了承した。
着替えて外に出る準備をして一緒に家を出る。
久しぶりの外の風景に眩しさを感じる。
『うわあっ………!』
逃亡中は家の中で、する事もなくダラダラと過ごしていたので胸が躍る。
車に乗り流れる景色を逃さぬ様じっと眺める。
安室さんが「子供の様だ」と微笑む。
海に着く前に食事をしてから向かった。
安「着きましたよ。」
『うわあ………!久しぶりです!!やっぱり綺麗……。』
海に触れたくて、うずうずしているとそれを察してか
「入ってきても良いですよ。」と言われる。
『安室さんも一緒に入りましょう!?』
最初は断っていたが子供を宥めるお父さんの様に了承してくれた。
ただ、着替えは持ってきていない為足だけを濡らし海と戯れる。
安室さんも海に入ろうとしていた為悪戯心に駆られ
(濡らしてやろう!)と思い足を上げた。
『わあっ!』
体勢を崩し尻もちを着く形で入水した。
水しぶきが上がり少し髪が濡れ服は上下だめに、なってしまった。
安「大丈夫ですか!?」
心配しながらクククと肩を震わせ笑うのを堪えている。