第10章 誘拐
むくりとベットから起き促されるまま手を取りバルコニーに向かう。
『わあ…………。』
綺麗な海が広がっている。
隣に居るのが彼なら、と素直に綺麗だと思えない自分が居た。
要「満足するまで見られるよ。夜になったら出発だからね。」
そう言い後ろから抱きしめられる。
ゾワリと不快に感じ思わず体を避けてしまう。
『止めてください………!』
要「抱きしめるよりキスの方を、ご所望かな?」
グイッと顎を持ち上げられキスされそうになる。
『やだっ…………!』
ドンッと突き放すと同時にドアが開く音がする。
要「誰だっ!!」
その瞬間パンッと銃声が響く。
『えっ…………、要さんっ!』
頭に血を流しながらバルコニーから下に落ちて行った。
叫びそうになった瞬間、いつもTV画面越しに見ていた長髪の男が口を塞ぐ。
ジ「大きな音を立てたら殺すぞ。」
グッと堪え口を押さえていた手が離れる。
気づくと数人居た男達が消え2人きりになっていた。
ジ「アイツとは、どういう関係だ?」
『………今日、初めて会いました。』
ジ「………そうか。俺の言う事に背いたり反逆行為を見せたら殺す。お利口にしてれば帰してやる。」
『……………』
ジ「返事は、どうした?」
『はい………。』