第3章 ポアロ
安室さんに手招きをされ近くへ寄る。
安「 紫乃さんは、沖矢についてどこまで知っているんですか?」
『…………何も知りません。』
安「…………そうですか。
では、赤井については知っていますか?」
『………っ、何も知りません!』
安「………わかりました。」
さらり……と髪を撫でられる感触があり
ふと前を見ると唇が触れ合う様な距離で目が合う。
どきっとしてしまい動けなくなってしまう。
安「僕は、 紫乃さんが好きです。………一目惚れというやつですかね。
………… 紫乃さんは好きな人は居ますか?」
『………っ!////い、居ません!!』
パッと視線を逸らし顔を赤らめながら俯く。
安「そうですか………。」
と言いニコリと微笑んでいる。
安「僕と一緒に住みたくなったらいつでも声を掛けてくださいね?」
と表情を変えずに、にこやかに言う彼。
『え………?』とパッと視線をあげると
更に近い距離で、どきりと心臓が跳ねる。
その瞬間カランコロンと扉の鐘が鳴る。
バッと視線をそちらに向けると男の人が立っていた。
安「あ、マスターおかえりなさい。
紫乃さんが挨拶に、いらしてますよ。」
マ「おー!君が、 紫乃ちゃんか!!
よろしくね。挨拶に来てくれたついでで申し訳ないけどシフトの話とかさせてもらえないかな?」
『あ、………大丈夫です。』
そう言いマスターと裏の休憩室へ入っていった。
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30分ほど話しマスターだけが帰ってきた。
安「あれ? 紫乃さんは??」
マ「裏口から帰ったよ。
…………安室君、 紫乃ちゃんが可愛くても意地悪しちゃだめだからね。」
安「……………しませんよ。そんな事。」
にこりと爽やかな笑顔で言う。