第2章 練習!
そうと決まればさっそく行動だ。
こんなところで山本くんと喋っている場合ではない。先輩との夢の帰宅イベントを実現するため体育館に響き渡る声で「お先に失礼します!!!」と叫んで荷物を取りに走った。
もうジャージのまま行こう。動きやすいし走って汗かいても大丈夫、うん、私天才。登下校は校則で制服って決まってた気もするけどこれは下校じゃない、ミッションだ。と自分に言い聞かせていつもは使わないバスがたまたまタイミングよくきたので乗り込む。
スーパーで買う物を頭の中で整理して最短ルートを考える。「よしよし、間に合うはず。」なんならメイク直して髪巻いていける。
バスに乗り込む人は少なく思っていたよりも早くスーパーに到着した。神さまは私の味方らしい。
シュミレーション通りに入り口近くの野菜コーナーからキャベツやトマトをカゴに入れていく。いつもはキャベツの重さ比べたり、綺麗な放射線状のトマトを探したりするけれど今日はそんな事しない。腐ってなきゃ問題ない精神。
お肉コーナーで目についた半額の下味がついたポークステーキをゲットしておもわずガッツポーズする。
神だ、焼けばいいだけ。更に時短できそうだ。
後は差し入れ用の鶏肉と食パンを購入して家路につく。
まずは絶対に忘れるお米研いで炊飯器のスイッチ。本当は1時間くらい吸水させたいけど絶対に忘れるから!もう押しちゃう。
半額のポークステーキをフライパンに並べて蓋をする。強火に火を入れケータイで3分タイマーをセットして洗濯物を取り込みに行く。
カーテンレールに取り込んだ洗濯物をそのままかけて次はお風呂掃除。もう今日は浴槽だけ、いつもは濡れないよう気をつけるけどジャージがびしょ濡れになりながら湯船を洗った。
濡れたジャージを洗濯カゴに入れてちょうど3分のアラームが鳴った。
キッチンに戻るとじゅうじゅうと豚肉の焼けるいい匂いがする。やべ、換気扇つけ忘れた。
ポークステーキをひっくり返し換気扇をつけ、その間にキャベツを千切りにする。お皿にキャベツを敷き詰めてトマトをカットしてそえる。
焼き上がったポークステーキを食べやすい大きさに切って盛り付ければ夜ご飯の完成。
ここまでは完璧なペース、愛のパワーはすごい。