第2章 練習!
「お疲れ様でした!」
「「「「おつかれしたー!!!!」」」」
黒尾先輩の号令で部員全員が挨拶をする。
正式にマネージャーになって初の部活はあっという間に終わってしまって、改めて大変な仕事だなぁと実感した。
思えば今日はメモ帳とずっと睨めっこしていたので黒尾先輩のかっこいいプレーを全然みる事が出来なかった。
なんという不覚。
しかし練習が終わってしまえばこちらのものだ、絡みに行っても問題ないだろう。
表情筋がにまにまと緩んでいくのが分かる。汗かいてる先輩かっけぇ。バックハグで奇襲かけてスーハースーハー黒尾先輩のにおいを吸い込んでやろう。今日一日の頑張りを労ってもらうんだ。
「ストレッチしっかりやれよー!自主練する奴は水分しっかり取って休憩してからなー」
「うぃーっす」
黒尾先輩の掛け声に部員たちは二手に分かれた。
帰る組は各自端っこの方でストレッチをはじめ、居残り組みはドリンクのボトルが置いてあるステージの方へ移動。
黒尾先輩は海先輩と何やら雑談しながら当然のようにステージ側へ行ってしまった。
今まさに先輩へ駆け寄ろうとしていた私はぽつんと置いていかれてしまった。
え?え、え??マジですか
自主練とか聞いてないんですけど?
「ちょっと山本くん!?先輩と夢のらぶらぶ下校タイムは!!???」
「ん?なんだそれ?」
「自主練あると思ってなかったんだよ。黒尾先輩と一緒に帰れないじゃん!あわよくばお家特定しようと思ってたのに。」
「苗字も残ればいいじゃねぇか」
「そっか!山本くん天才!!」
私のストーカー発言はスルーか。バレー部はみんなスルースキルが高いなぁ。
「みんな何時までやるの?」
「んー俺とか黒尾さんはいつも最後までいるからだいたい20時くらいだな」
「うえ!ごめんっ、20時はむりだ〜。今日家事当番なの……いやまてよ今から速攻で買い物してクック○ゥ使って夜ご飯10分で作って炊飯器セットしてお風呂掃除して洗濯物は取り込んで帰ってから畳めばいいからほっといて先輩の差し入れ作ってタクシーで学校戻れば20時ギリ間に合うか…???」
「ストーカーするにも気合いと根性が必要なんだな。」
「えー!黒尾さんだけずりぃ〜、先輩俺にも作ってくださいよ〜!」
「いやまずストーカーを止めろよ!なんだよこの部は!?ツッコミ不在か!!?」
おこってる先輩もすてき。
