第2章 練習!
「という訳で、今日から男子バレー部のマネージャーになりました。苗字なまえです。よろしくお願いします。」
見学騒動から3日後、入部届を提出して無事正式にバレー部のマネージャーを務めることになった。
「よろしくな!クロの嫁!」
「クロさんの嫁ほんとに入部するんすね!よろしくっす!」
「黒尾さんの嫁先輩!俺のこと覚えてますかー!」
部員が誰1人として名前を覚えてくれません!!!悲しい!!!
でも嬉しい!!!!
「んじゃ早速で悪いんだけど、あっちの1年に仕事教えてもらって。もう少ししたら監督とコーチが来るから紹介するわ。」
そして黒尾先輩もガンスルーだ、おそらく私が入部するまでの間にいじられすぎて慣れてしまったのだろう。
「紹介だなんて、そんな…//まだ早いでs「集合ー!ランニングとストレッチー!」
「ガン無視興奮するわぁ」
練習開始時間ぴったりだ。さすが主将。
黒尾先輩の声かけに自主練をしていた部員がボールを片付けて集まり始めた。
さて、いつまでもおふざけは駄目だ。推しごとはいったんお終いにして、部活中は切り替えてきっちりお仕事するぞ。
昨日買ったばかりの部活用のメモ帳を取り出して柴山くんに声をかける。
「芝山くん、ご指導よろしくお願いします!」
「こちらこそ宜しくお願いします!マネージャーの仕事は一年生で分担してやっていたので先輩来てくれて助かります!」
そうだよねぇ…洗濯してる時間があるならたくさん練習したいはずだ。それでも丁寧に道具の置き場所や掃除のやり方、洗濯機の使っていい時間や暗黙のルールなんかを教えてくれた。忘れないようしっかりメモを残しながら芝山くんにあやまる。練習したいのに私のために時間を使ってくれているのだ。
「ごめんね、練習したいよね。なるべく早く仕事覚えます!」
「全然気にしないでください!黒尾さんが今日はサーブを長めにやると言っていたので」
あ、僕リベロっていうポジションで、サーブ練習中はレシーブしてるんですけどーと2人で洗濯物を干しながら教えてくれた。
昨日メモ帳と一緒に買ったルールブックに書いてあった気がする。
ひと通り読んでみたが文字ではわかりずらかったリベロの事を芝山くんが丁寧に説明してくれた。
本当に奥が深いスポーツだな、帰ったらもう一度リベロのページを読んでみよう。少しでも早くみんなの役に立てるように。
